今回は、コーネリアスこと小山田圭吾さんの凄さや逸話についてご紹介します。
ただし、その後に過去のいじめ問題が再燃し、大きな批判を受けて辞任することとなってしまいました。この件については賛否ありますが、今回注目したいのは、なぜ彼がオリンピックという世界的な舞台に選ばれたのかという点です。
それは、小山田圭吾というミュージシャンが、オリコン1位やミリオンヒットといった商業的な成功では語れない、本物の音楽性を持っているからです。国内外の数多くのアーティストや音楽関係者に絶賛される、まさに「ミュージシャンズ・ミュージシャン(音楽家に愛される音楽家)」と呼ぶにふさわしい存在なのです。
最近では、令和世代には「Corneliusって誰?」という方も増えてきているかもしれません。しかし、音楽シーンに与えた影響やその革新性を知れば、間違いなく知っておくべき存在だと実感できるはずです。
そんな小山田圭吾さんの魅力や逸話を、この記事では改めて掘り下げてご紹介したいと思います。
小山田圭吾は2つ以上のバンド・プロジェクトを成功させた「本物の天才」
まず私が考える「天才ミュージシャン」の定義ですが、それは**「2つ以上のバンドやプロデュースで成功を収めた人」**です。なぜなら、一つのプロジェクトをヒットさせるだけでも非常に難しいのに、複数の名義で結果を出すというのは、まさに類まれなる才能の証だと思うからです。
たとえば──
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ジョン・レノンはThe Beatlesだけでなくソロでも名曲を数多く残しています。
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椎名林檎さんはソロと東京事変という二つのプロジェクトで成功を収めました。
もちろん、NIRVANAのカート・コバーンやジミ・ヘンドリックスのように、早逝してしまい別バンドで活動する前に亡くなった例もありますが、彼らも間違いなく天才に数えられる存在です。
また、宇多田ヒカルさんのようにソロ一本で圧倒的な成功を収めた例もありますが、ここでは「複数プロジェクトの成功者」に注目しています。
その観点で見ても、フリッパーズ・ギターという伝説的なバンドと、ソロ名義である**Cornelius(コーネリアス)**の両方を成功させた小山田圭吾さんは、文句なしの“本物の天才”です。
Cornelius(コーネリアス)の海外での評価は?
小山田圭吾さんのソロプロジェクト「Cornelius」は、日本国内以上に、海外での評価が非常に高いことで知られています。
英語圏の方が作ったサイトBest Ever Albumsでの評価
海外ファンによって作られている音楽データベースサイト「Best Ever Albums」では、日本からのアーティストの中でも特に以下のような名前が高評価を得ています:
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フィッシュマンズ
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はっぴいえんど
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Nujabes
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ボアダムス
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そして、Cornelius
特にアルバム『FANTASMA』は、116票・平均80点・114週間チャートインという高い人気を誇っています。続く『POINT』も評価が高く、アーティストとしての国際的な信頼性が伺えます。
FANTASMAの評価は投票116で平均点80点で114週間登場です。
一方で、世界的に人気なONE OK ROCKでも、同サイトでは1票・平均74点・1週間のみの登場という結果でした。これは、音楽ジャンルやファン層の違いもありますが、Corneliusの作品がいかに「音楽通」に評価されているかを示しています。
グラミー賞にもノミネート!映像作品『SENSURROUND』
Corneliusは、音楽と映像を融合させた作品『SENSURROUND』で、グラミー賞にもノミネートされた実績があります。
この作品は、コーネリアスの音楽と、映像作家辻川幸一郎さん、高木正勝さん、GROOVISIONなどのビジュアル表現が融合されたDVD作品。音楽と映像の新しい関係性を提示したその作品は、国内外で高く評価されました。
ちなみに、この辻川さんとのタッグはユニクロのCMなどでも見ることができ、日本のクリエイティブシーンでも強い存在感を放っています。
Pitchfork(ピッチフォーク)というサイトでの評価
海外メディアPitchforkでの高評価
海外の音楽メディアとして名高い「Pitchfork」では、Corneliusの『FANTASMA』が8.8点、『POINT』が7.8点と非常に高い評価を獲得しています。
日本のアーティストの中でもここまでの評価を得るのは珍しく、同メディアでは宇多田ヒカルさんの『BADモード』も8.0点と評価されており、Corneliusの評価がいかに突出しているかがわかります。
小山田圭吾 × 小沢健二という“早熟の天才コンビ”が生んだ伝説のバンド「フリッパーズ・ギター」
小山田圭吾さんの原点ともいえるバンドが、小沢健二さんと結成したフリッパーズ・ギターです。
この二人は中学生のころからの同級生であり、若くして音楽性を磨きあった関係性でした。
フリッパーズ・ギターの最大の功績は、「渋谷系」というジャンルの確立です。
ロックやポップに限らず、ボサノヴァ、ラテン、フレンチポップなどのエッセンスを取り入れた洗練された音楽スタイルは、当時の日本の音楽シーンに大きなインパクトを与えました。
そのおしゃれなセンスは、アルバムタイトルや楽曲名にも表れており、
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『バスルームで髪を切る100の方法』
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『three cheers for our side〜海へ行くつもりじゃなかった』
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『ヘッド博士の世界塔』など
まるで小説や映画のような世界観を感じさせます。
フリッパーズギターのすごさ
映画の「デトロイト・メタル・シティ」で渋谷系が出てきましたが、渋谷系=オシャレで可愛らしい音楽であり、ロックやパンクなどのジャンルだけではなく、ボサノヴァや世界の音楽などを混ぜた当時としては斬新な音楽でした。
小説家の吉本ばななさんを始めファンも多いです。
またフリッパーズ・ギターの曲やアルバム名も同様してネーミングセンスがオシャレな楽曲が多いです。
「バスルームで髪を切る100の方法」
アルバム「three cheers for our side〜海へ行くつもりじゃなかった」、「DOCTOR HEAD’S WORLD TOWER -ヘッド博士の世界塔-」とか題名だけでもオシャレですね。
フリッパーズギターの突然の解散理由
フリッパーズ・ギターは、全国ツアー直前に突如解散してしまいました。読売新聞などでは「プロとして無責任」と報じられましたが、小山田さんの後年のインタビューでは、
「なにか一つ理由があったわけじゃなく、もうお互い、そういう感じになってたんです。『やめよっか』みたいな感じだったと思います。」
と語られています。
やはり、天才が二人いるバンドは長続きしないものかもしれません。それでも、短い活動期間の中でフリッパーズが日本の音楽シーンに与えた影響は計り知れません。
革新的なユニット「Cornelius(コーネリアス)」の凄さとは?代表曲も紹介!
小山田圭吾の凄さと言えばコーネリアスからなんです!
デビューアルバム時はフリッパーズ・ギターではできなかったハードなギターミュージックがしたかったんだなと思いました。
THE FIRST QUESTION AWARDはまだ前のフリッパーズギターのままのポップロック、69/96はギターロックですがその後のアルバム「FANTASMA」から彼にしかできない音楽を作ります。
実際彼の才能は海外でも高く評価されている数々のアルバムに表れています。
海外で最初のアルバムとなった「fantasma」と「point」で世界的な評価を得た後も、彼は「SENSUOUS」と「Mellow Waves」というアルバムで評価を得ています。
『The First Question Award』── フリッパーズの延長線上にある1stアルバム
Corneliusとしてのデビュー作『The First Question Award』は、まだフリッパーズ・ギターのポップで洒落た雰囲気を残しつつも、随所にロック的な攻めたギターが顔を出します。
ワールドミュージックやエレクトロの要素も入りはじめていて、ここから後の進化の兆しが見えるアルバムです。
ポップなナンバー THE SUN IS MY ENEMY
こちらはフリッパーズ・ギターファンには嬉しいポップなナンバー。
渋谷系まとめにも収録されているナンバーです。
やべっちFCでも使われた 代表曲2 女性のスキャットとギターインストが超かっこいい「PELE」
イントロからインパクトのあるかっこいいメロディ始まるこの曲、女性のスキャットが印象的なナンバー。
聞き所は中盤のオルガンソロ、ギターソロ。
ディープ・パープルを彷彿しますね。
小山田圭吾さんはギターがうまいイメージではないのですが、見事なギターソロを弾いています。
器用だな。
題名はサッカーのペレさんからとっています。
『69/96』── ポップからロックへの転換点
続く2作目『69/96』では、よりギターロック志向が強まり、実験的なサウンドが目立ちます。ポップなメロディもありつつ、音作りは確実に「その先」を目指しはじめています。
このあたりから、Corneliusとしての独自の美学や哲学が明確になってきます。
代表曲1 TVでも放送されたMOON WALK ムーンウォーク
ヘヴィロックなのにボーカルが爽やかなナンバーでかっこいい。
hideとかにも影響を与えていそう。
バンドメンバーが骸骨の服を着ているのが印象的です。
『FANTASMA』── 海外で高く評価された革新的アルバム
そしてCorneliusの代表作とも言えるのが、3作目の『FANTASMA』。
これはもう「日本人ミュージシャンのアルバム」という枠を超えた、世界標準の実験的ポップサウンドです。
カットアップ、コラージュ、サウンドエフェクトを大胆に使い、聴いていてまるで万華鏡のような感覚を味わえます。ファンタズマというアルバムですが、このアルバムにて当時流行ったサンプリングという手法を彼が取り入れてから彼の音楽はもう一段階高みへと向かいます。
このアルバムは、英Pitchforkで8.8点の高評価を受けたほか、世界各国で絶賛されました。
このアルバムから海外でも売り出すことになり評価も高いです。オリコンは最高6位。
しかし、サンプリングの音の元となるサンプル音の許可を取るのがものすごく大変だったらしく、彼はこの路線から離れることになります。
もったいない…
前述した通り、ピッチフォークメディアでは8.8の高得点を叩き出した日本人として誇るべき傑作です。
ちなみにファンタズマを元に作られた「CM」「FM」も名盤です。
代表曲 New music machine
爽やかなギターロックでFantasmaにも収録されたこちらの曲。
ポップな名曲です。
Count Five or Six
カウントが1,2,3,4,5,6という音声が流れながら激しく暴れるナンバー
プロモかっこよすぎだろ…!
代表曲3 Star fruit surf rider
初期の路線から変えた代表曲はこちらの「Star fruit surf rider」ですね。
ライブの最後にもってきたりしていたので本人も好きなのではないでしょうか?
『POINT』『SENSUOUS』『Mellow Waves』── 独自路線を突き進む
その後のCorneliusは、**『POINT』**でさらにミニマルで洗練されたサウンドを追求。水の音、風の音、自然と融合したような静謐な世界観を築き上げます。
続く**『SENSUOUS』**では、音と映像のコラボレーションが評価され、グラミー賞にノミネートされた映像作品『SENSURROUND』へと繋がっていきます。
2017年に発表された**『Mellow Waves』**では、よりメロウで内省的なサウンドを展開し、年齢を重ねた小山田圭吾の新しい表現が生まれています。
芸術的でもうほぼ「デザインあ」の世界観を作り出していますね。
POINT以降の代表曲「Point of view point」
このPOINTもオリコンは最高4位なので売れてもいるんですよね!
水の音をサンプルしたDrop、未来世紀ブラジルの「Aquarela do Brasil」のカバーが入っていたりします。
代表曲4 LIVEでは動画との親和性が高い CMでも流れていた「GUM」
彼のライブはVJの流す動画との親和性が高く、日本では先駆け的にやっていた印象に思います。
Mello Waves
最高傑作とも売り出されたこちらのアルバム。
pointからの実験的な感じは残っていますが、いつか / どこかなどの爽やかなナンバーもあるのが嬉しいです。
いつか / どこか
革新的音楽バンドMETAFIVE(メタファイブ)の活動
2016年には元YMOの高橋幸宏や砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井などと組んだバンド METAFIVEが話題となりました。
ブラッシングを多用したコーネリアスのギターかっこいい!
カヒミ・カリィを発掘したコーネリアス
国民的アニメちびまる子ちゃんの主題歌「ハミングがきこえる」を作曲し歌ったのがカヒミ・カリィさんです。
ウィスパーボイスとしてカヒミ・カリィさんは有名です。
海外の有名アーティストともコラボ!コーネリアスのグローバルな音楽活動
コーネリアス(小山田圭吾)の音楽活動は、日本国内にとどまらず、世界的なミュージシャンたちとのコラボレーションでも注目されています。
たとえば、Beck(ベック)、Blur(ブラー)、Sting(スティング)、**Moby(モービー)**といった海外のトップアーティストたちと共演した実績があるのです。これだけでも、コーネリアスの音楽的なセンスや技術が、国境を越えて評価されていることがわかります。
また、日本の音楽シーンでも、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)、ピチカート・ファイヴ、細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏、テイ・トウワ、スチャダラパー、電気グルーヴなど、名だたるアーティストたちとコラボレーションしてきました。
さらに特筆すべきは、オノ・ヨーコやその息子ショーン・レノンとともに「YOKO ONO PLASTIC ONO BAND」名義で活動していたこと。まさに、国内外問わず多くのアーティストから信頼される「ミュージシャンの中のミュージシャン」と言えるでしょう。
子どもから大人まで魅了した「デザインあ」の音楽
コーネリアスの音楽は、アートや教育の世界でも高く評価されています。
その代表例が、**NHK Eテレの人気教育番組『デザインあ』**への参加です。
この番組では、彼が手がけた音楽と映像の融合が話題となり、子どもだけでなく大人のファンも獲得しました。
実際に番組を観るとわかりますが、音やリズム、視覚の動きが完璧にシンクロしていて、ひとつの作品として非常に高い完成度を誇っています。
「音楽で世界をデザインする」とも言えるような、コーネリアスのアプローチは、単なるBGMの枠を超えて、まさに**知的で感性に訴える“体験型音楽”**です。
コーネリアス(小山田圭吾)の家族関係とは?
音楽一家に生まれた才能
コーネリアスこと小山田圭吾さんは、実は音楽一家の出身です。
彼の父親は、かつて人気を博したムード歌謡グループ「和田弘とマヒナスターズ」のメンバーである三原さと志さん。その長男として東京に生まれました。
幼い頃から音楽に囲まれた環境で育ったことが、彼の独自の音楽性の土台になっているのかもしれません。
元結婚相手はL→Rでも活躍した嶺川貴子
L⇔Rやソロで活躍した実力派
小山田圭吾さんは、L⇔Rやソロアーティストとしても活動していた嶺川貴子(みねかわたかこ)さんと結婚していた時期がありました。
ちなみに、L⇔Rとして大ヒットを記録したのは、嶺川さんが脱退した後のことですが、彼女はカヒミ・カリィさんとのコラボや、ソロとしても評価の高いアーティストです。
現在は離婚されていますが、二人の間には小山田米呂さんという息子さんがいます。
コーネリアス(小山田圭吾)のいじめ問題について
小山田圭吾さんを語る上で、避けて通れないのが過去のいじめ問題です。
この問題は、1990年代に掲載された以下のインタビュー記事がきっかけで広く知られることとなりました。
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『ROCKIN’ON JAPAN』(1994年1月号)
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『Quick Japan』(1995年8月号)
これらのインタビューでは、知的障害のあるAくんに対して「排泄物を食べさせた」「自慰行為を強要した」といった、極めてショッキングな内容が掲載されました。
小山田さんの説明と釈明
これらのエピソードについて、小山田さんは後に以下のような説明をしています。
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排泄物を食べさせた件:実際にはすぐに吐いてしまったことや、自身が主導したというよりはその場にいたことを語っています。
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自慰行為の強要について:友人が言っていたことに対して「引いた」と語っており、自らが直接的に関与したわけではないとしています。
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記事内容の確認不足:当時は、記事のチェックや掲載内容の精査がされておらず、軽率だったと反省のコメントを発表しています。
また、小学生の頃にAくんをダンボール箱に入れて黒板消しの粉をかけたといった行為についても、自身で認めています。
その後の関係と対応
高校時代にはAくんとの年賀状のやりとりなどもあり、完全に断絶した関係ではなかったことも語られています。
2021年、東京オリンピック開会式の音楽担当に抜擢された際、この過去のいじめ問題が再燃し、最終的には辞任に至りました。
私自身の感じたこと
私も当時、この報道をSNSなどで見て非常に不快な気持ちになりました。
しかし後に発表された謝罪文を読み、彼自身が過去と向き合おうとしている姿勢に少し気持ちが変わったのも事実です。
コーネリアス(小山田圭吾)さんのまとめ
ここまで小山田圭吾さんの音楽活動や、コーネリアス名義での評価、そしてフリッパーズ・ギター時代の功績までを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
彼の音楽は、単なるJ-POPの枠にとどまらず、世界基準で評価されるサウンドの探求や、映像との融合による表現の革新性が特徴です。国内外の著名アーティストとのコラボ、NHK「デザインあ」などの教育番組での活動まで、そのフィールドは非常に広範です。
一方で、過去の発言や行動により大きな批判を浴びたこともありました。しかしそれに対して真摯に向き合い、謝罪し、音楽を通して再び信頼を築こうとしている姿もまた事実です。
この記事では、そんな光と影の両面を持つアーティスト・小山田圭吾の魅力を、多角的に伝えることを目指しました。
また、今回は紹介しきれなかったフリッパーズ・ギター時代のアルバムや楽曲の魅力についても、今後改めて特集したいと思っています。
令和の今だからこそ、再び注目されるべきアーティストの一人として、これからもコーネリアス=小山田圭吾さんの活動を応援していきたいと思います。
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