AJICO(アジコ)が20年ぶりに再始動というニュースには、本当に驚きました。
そして、2024年3月13日にはニューアルバム『ラヴの原型』がリリースされ、全国ツアー「AJICOの原型」も開催されました。
※この記事の後半では、実際にライブに参戦した体験もレポートしています。
AJICOは、伝説的なロックバンド・BLANKEY JET CITY(ブランキージェットシティ)解散後に、浅井健一さんが結成したバンドとして話題になりました。
メンバーは超豪華で、
・ギター/コーラス/ボーカルは、元BLANKEY JET CITYの「浅井健一」さん(通称:ベンジー)
・ボーカルは、日本人離れした歌声で知られ、俳優・村上虹郎さんの母でもある「UA」さん
・ベースは、元RISEで堂本兄弟にも出演、中村達也さんとのインストバンドLOSALIOSにも参加した天才ベーシスト「TOKIE」さん
・ドラムは、多くのアーティストを支える実力派ドラマー「椎野恭一」さん(パイセン)
という顔ぶれ。**まさに“スーパーバンド”**と呼ばれるにふさわしい編成です。
個人的に印象に残っているのは、タモリさんが2000年ごろにラジオで語っていたAJICOのエピソードです。
車を運転中、ベンジーとUAの会話があまりにも自由すぎて思わず車を停めて聴き入った、と話していたのがとても印象的でした。
この2人、とにかく天然というか素直で正直。ぶつかるような会話が逆に面白くて、ラジオですら“作品”のようになってしまうんですよね。
AJICOは2001年に結成されましたが、活動期間はわずか1年足らず。
しかし、2021年に奇跡の再始動を果たし、再び注目を集める存在になりました。
再始動後はフジロック出演や2度のツアー開催もあり、ファンとしては本当に嬉しい限りです。
今回の再始動がいつまで続くのかはわかりませんが、AJICOファンの方は、ライブが開催されるなら一刻も早く参戦をおすすめします!
次がいつになるかわからない、それがこのバンドの魅力でもあります。
AJICO(アジコ)のエピソードと“凄さ”について
AJICOがなぜこれほど注目されるのか——。
前述の通り、メンバー全員が第一線で活躍する実力派揃いの“スーパーバンド”(この言葉はあまり好きではないですが)であることが大きな理由です。
ギターボーカルの浅井健一さんは、BLANKEY JET CITYで日本のガレージロックシーンを牽引した伝説的な存在。
ボーカルのUAさんは、チャート常連の“スーパーボーカル”として独自の地位を確立。
ベースのTOKIEさんは、RIZEでのデビュー後、数々の有名アーティストのサポートを務める“ベースの職人”。
そしてドラムの椎野恭一さんは、多方面で活躍する高い技術を持つ実力派ドラマーです。
AJICOが特に話題になる理由としては、“メジャーシーンで活動している”ことの影響力も大きいと思います。
テレビやラジオ、広告などで広く露出することで、世間への認知度が一気に高まるためです。
(JUDEやSHERBETSなどはインディーズ活動が中心のため、そこまで注目されにくい傾向があります)
AJICOの解散理由…アジコは解散せずに活動休止していた
2021年に再始動を果たしたことで明らかになったように、AJICOは正式には解散していません。
とはいえ、20年近く活動がなかったため、「解散した」と思われていても無理はないかもしれません。
活動休止にした理由としては「完全燃焼」だった
その活動休止の理由は「完全燃焼」。
UAさんは当時を振り返り、「1年で完全燃焼した」と語っています。
当時のUAさんは非常に多忙であり、浅井健一さんも自身のやりたいことが明確なタイプ。
お互いに主張の強いアーティスト同士だからこそ、一気に燃え上がって、エネルギーを使い果たしてしまったのではないか、というのが私の見解です。
それでも時が経ち、UAさんがラジオでAJICOの音源を聴いて「あのバンドはすごかった」と感じたこと、年齢を重ねてお互いが落ち着き、相手をより尊重し合える関係になったことが、再始動につながっていったのだと思います。
再始動のきっかけ
再始動のきっかけは、2016年のフェスで浅井健一さんがUAさんのパートナーに再会したとき、「またやろうよ」と声をかけたことだそうです。
また、UAさん自身が日本の音楽を聴き直していた時期に、AJICOの楽曲「深緑」を改めて聴いて「これはかっこいい」と感じ、ちょうどタイミングが合って声をかけたとも語られています。
ただ、UAさんは「昔のように完全燃焼はしない」とも語っており、活動の継続についてはあくまで“未定”。そのため、再び活動休止となっている現在の状況もある意味自然なのかもしれません。
バンドの結成はUAに楽曲提供をした際にベンジーとUAが話して決まった
AJICOは、UAさんに浅井健一さんが楽曲提供をした際のレコーディング中の会話がきっかけで誕生しました。
当時、椎野恭一さんはUAさんのライブでサポートドラマーを務めており、すでにメンバーとして候補に。残るはベーシストのみという状況で、浅井さんがあるイベントでアップライトベースを演奏するTOKIEさんを見て声をかけたのが決定打となったそうです。
バンド名「AJICO」は、複数の候補の中から浅井さんが唯一気に入った名前だったとのこと。
「宇宙をさまようヨット」という詩的な由来を語っていたこともありますが、実際は野溝七生子の小説『山梔』の主人公「阿字子」から取った名前だといわれています。
AJICOの音楽性、ルーツ
AJICOの音楽的魅力は、何といっても**各メンバーの高い演奏力と個性がぶつかり合って生まれる化学反応(ケミストリー)**にあります。
BLANKEY JET CITY時代の浅井さんは激しいガレージロックを展開していましたが、AJICOではより深く、内面的な世界観を掘り下げたサウンドが特徴です。
音楽的なルーツとしては、浅井さんはPortishead(ポーティスヘッド)やRadiohead(レディオヘッド)の影響を受けていたと語り、UAさんはBJÖRK(ビョーク)に強く影響を受けたことを公言しています。
UAさんの圧倒的な歌唱力によって、バラードでも情感豊かに歌い上げられるのがこのバンドの強み。
さらに、ボーカルが2人(UAと浅井)いるという構成も珍しく、曲によって表情が大きく変わるのも魅力です。
TOKIEさんは、通常のエレキベースに加えアップライトベースも操り、椎野さんはロックからジャズまで幅広い表現が可能。
まさに、表現力の引き出しが多いバンドだと言えるでしょう。
AJICOの代表曲・名曲とは?
それではここで、ぜひ多くの方に聴いてほしいAJICOの名曲・代表曲をご紹介します。
ブランキージェットシティの「ペピン」を超えた──AJICO版「ペピン」
私が一番におすすめしたい曲は、AJICO版の「ペピン」です。
この楽曲は元々、BLANKEY JET CITY時代にもシングルカットされていた名曲ですが、**AJICOとして再構築されたこのバージョンこそ、浅井健一さん(ベンジー)が本当に表現したかった“ペピン”なのでは?**と思わせるほどの完成度を誇ります。
※ブランキー版の「ペピン」は打ち込みを取り入れたアレンジでした。
AJICO版の「ペピン」では、1番のAメロとサビをUAさんがしっとりと歌い上げ、2番のAメロからはベンジーがボーカルを担当。そして、サビでUAとベンジーのツインボーカルが重なり合う瞬間は圧巻で、鳥肌モノです。
2人の声質や表現が絶妙に溶け合い、AJICOならではの深みと美しさが際立つこの楽曲は、まさに彼らの音楽性の象徴的な1曲と言えるでしょう。
新曲のラヴの原型
ベンジーが**仮タイトル「ディスコ」**と名付けていたというこのナンバー、
新曲「ラヴの原型」は、まさに“攻めのAJICO”を感じさせる1曲です。
こんなに刺激的な曲を**今の時代に、今の彼らが届けてくれるなんて嬉しすぎるだろ!**と叫びたくなるほどの衝撃。
TOKIEさんのブリブリ唸るようなベースライン、そして間奏から続くボーカルの背後で響く鋭いギターリフ……まさに痺れる展開です。
さらに、UAさんのキレのあるダンスもめちゃくちゃカッコいい!
視覚でも音でも魅せてくる、今のAJICOのパフォーマンスは圧巻です。
「美しいこと」──生きること、そして美しさを歌う名曲
「美しいこと」は、AJICOの中でもシングルカットされた印象的なナンバーです。
**“生きるうえで美しいものを大切にしたい”**というUAさんとベンジー(浅井健一さん)の想いが込められていて、
とくに〈弱くても美しくなれる〉というフレーズは胸に響きます。
私はベンジーのファンなので、この曲でベンジーが中心になって歌ってくれるのが本当に嬉しいんですよね。
そのボーカルに寄り添うようにコーラスで絡んでくるUAさんの声もまた美しくて、2人の表現が重なり合う瞬間にグッときます。
繊細さと力強さが同居する、まさにAJICOらしさが詰まった名曲です。
この曲含め深緑に収録されています。
「波動」──メロディの美しさとUAの歌声が際立つ名曲
「波動」は、シングルらしいキャッチーで美しいメロディが印象的な1曲です。
そこに乗るUAさんの透明感あるボーカルが、“波動”というタイトルそのままに、聴く人の心にじんわりと響いてきます。
この曲はUAさん自身もとても気に入っているようで、ソロライブでもカバーして歌っているほど。
それだけ彼女にとっても大切な1曲なのだと思います。
メロディの強さ、歌声の美しさ、そして言葉の余韻——AJICOの中でもとくに“静かに深く沁みる”名曲です。
すてきなあたしの夢
「すてきなあたしの夢」を聴くと、改めてUAさんのボーカルの魅力に圧倒されます。
柔らかくて、包み込むようで、だけど芯のあるあの声は、本当にたまらないですね。
そして、そのUAの歌声に寄り添うように絡んでくるベンジーの指弾きギターがまた最高なんです。
シンプルだけど繊細で、歌とギターが会話しているような、そんな感覚になります。
まさに“夢”のように美しくて儚くて、AJICOの音楽が持つ詩的な世界観が凝縮されたような1曲です。
「LL.M.S.D」──再始動の喜びがにじむ、接続 – EP からの1曲
「LL.M.S.D」は、20年ぶりにリリースされたEP『接続』に収録されたナンバーのひとつ。
この曲には、再始動したAJICOの“今”が明るく軽やかに表現されていて、聴いていると自然と前向きな気持ちになります。
どこかリラックスした雰囲気の中に、しっかりとしたグルーヴもあって、私はこの曲、すごく好きですね。
長いブランクを経ても変わらず進化を続けるAJICOの魅力が、さりげなく詰まった一曲だと思います。
地平線 Ma
キーボードが入った新生AJICOのナンバー。
TOKIEさんのぶっといベースがかっこよくて好き。
しかし、素敵に年齢を重ねていくメンバーが素晴らしいです。
AJICOのアルバム紹介とおすすめ作品
AJICOのこれまでの作品は以下の通りです。
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2024年:『ラヴの原型』
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2021年:『接続 – EP』
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2001年:『深緑』
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ライブアルバム:『AJICO SHOW』
2001年の初活動時は、わずか約1年間の短い期間だったこともあり、当時はスタジオアルバム『深緑』とライブアルバム『AJICO SHOW』の2作品しかリリースされていませんでした。
私自身も「もうこれ以上は出ないのかな」と思っていたところ、2021年の再結成で『接続 – EP』がリリースされ、さらに2024年にはフルアルバム『ラヴの原型』が発売されるという嬉しい展開が続いています。
個人的におすすめしたいアルバムは『AJICO SHOW』
数ある作品の中で私が一番おすすめしたいのは、**ライブアルバム『AJICO SHOW』**です。
このアルバムはライブ盤ではありますが、メンバー4人それぞれがボーカル・ギター・ベース・ドラムすべてにおいて個性的かつ高いスキルを持っているため、まるでスタジオ録音のような完成度。
それでいて、ライブならではの熱気や生々しさもしっかり感じられるのが魅力です。
【おすすめ曲ピックアップ】
◆ ベンジーファンにおすすめの楽曲
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4曲目「美しいこと」
ベンジーがメインで歌う、力強くも繊細な名曲。 -
6曲目「GARAGE DRIVE」
ブランキー時代を思わせる疾走感とベンジー節が炸裂。 -
Disc2・2曲目「ペピン」
AJICO版で再構築された、ブランキーとは別物の“完成形ペピン”。
◆ UAファンにおすすめの楽曲
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3曲目「すてきなあたしの夢」
UAの歌声が際立つ、優しく包み込むような楽曲。 -
7曲目「毛布もいらない」
ブランキー時代は「黒い宇宙」として黒盤ベストに収録されたUAバージョン。 -
8曲目「悲しみジョニー」
切なさと強さを兼ね備えたUAの世界観が光る。 -
Disc2・8曲目「波動」
UA本人もお気に入りで、ソロでも歌われるメロディアスな一曲。
再結成によって広がったAJICOの世界。スタジオアルバムももちろん素晴らしいですが、彼らの真の凄さが感じられるのはライブ音源かもしれません。
ぜひ『AJICO SHOW』で、その熱量を体感してみてください。
「AJICOの原型」ツアーでブランキーのあの曲が…!
現在、AJICOは『AJICOの原型』ツアーの真っ最中ですが、私は大阪・Zeppなんば公演に参戦してきました!
UAさんの地元・関西ということもあり、MCではダジャレを披露する場面もあって、和やかで温かい雰囲気。そしてライブ自体も素晴らしいコンディションで、最高の時間を過ごせました。
ブランキーの曲を“3曲くらいやる”と事前インタビューで予告も!
ツアー前のインタビューで、ベンジーが「ブランキーの曲を3曲くらい久しぶりにやるよ」と話していたこともあり、
何の曲が演奏されるのか…ファンとしては楽しみにしていました。
大阪と名古屋で披露された「赤いタンバリン」
そして大阪公演で聴けたのが…なんと**「赤いタンバリン」**!
中盤と終盤にかけてのギターソロがとにかくかっこよくて、
まさかこの曲をAJICOで聴ける日が来るとは…!
本当に、生涯忘れたくない瞬間のひとつになりました。
日比谷野音では「SWEET DAYS」「ガソリンの揺れ方」も!
また、日比谷野外音楽堂の公演では、**「SWEET DAYS」と「ガソリンの揺れ方」**が披露されたそうです。
ちなみに、ベンジーの息子である浅井小次郎さんがスタッフとして手伝っていることも報告されており、
彼が「一番好きな曲はSWEET DAYS」と語っていたことから、
「もしかして演奏は息子へのサービスだったのかも?」なんて妄想もふくらみました。
AJICO(アジコ)のまとめ
今回はAJICOの紹介と、最新ツアーの感想をお届けしました。
現在もこうしてツアーを続けてくれていることが本当に嬉しいです。
日本が誇るスーパーバンドAJICO──今後もゆっくりでいいので、長く活動を続けてくれたら嬉しいですね。
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